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青雲の志高く政治家を目指す皆さん、具体的な目標は決まっていますか? 人の役に立ちたい、世の中をより良くしたい…いろいろな思いがあるでしょうが、まずはご自身がこれから戦っていく場所を決めなければなりません。
国政に打って出るか、地方の首長を目指すのか、はたまた地方議会で地盤を築くのか。いずれにしても、どの選挙に出馬するのかをよく考える必要があります。志は天より高く持っていたとしても、最初の目標は高すぎても、逆に低すぎてもいけません。
基本中の基本ではありますが、議員選挙・首長選挙に立候補するための資格(被選挙権)と、それぞれの職務内容の違いについて順番に見て行きましょう。
・日本国民で満25歳以上であること。
衆議院議員の職務の第一は、国会で法律を作ること。
法律の案(法案)の提案や、法案の審議、法律の制定などを行います。
衆議院議員は、法務や財政金融など17の分野に分かれた常任委員会、または議員の議決で設けられた特別委員会のうち、一つ以上の委員会に所属して関係する法案の審議を行います。
第二に、国の予算を決定すること。
内閣が作成した予算の見積もりに対して、その予算が適正かどうかを国会で審議・検討します。また前年度の予算どおりに公金が使われたかの審議も行います。
第三に、内閣総理大臣を選出すること。
内閣総理大臣は国会議員の中から、国会の議決によって指名されます。
このほか、地元の選挙区の要望を国政に上げる橋渡しをしたり、自分の所属する委員会での専門分野を中心とした調査・研究・情報収集を行うことなども職務のうちです。
・日本国民で満30歳以上であること。
参議院議員の職務は基本的に衆議院議員と同じです。
衆議院議員の任期が4年に対して、参議院議員は6年(3年ごとに半数を改選)、解散が無いことなどが異なります。
法案の審議などは、衆議院と参議院の双方で決定が一致することが求められていますが、一致しなかった場合は衆議院の結果が優先されます。
権限は衆議院議員の方が強いと言えます。
・日本国民で満30歳以上であること。
都道府県知事の職務は多岐にわたります。
都道府県のトップとして予算案をまとめて議会に提出したり、条例案を策定して議会に提出します。地方税や地方交付税交付金の用途を決めることも職務のうちです。
また知事部局職員の人事権を持ち、行政委員会などでの委員の任命権を持つ場合もあります。補佐役である副知事も知事が指名し、議会の承認を経て任命されるのです。
ほかにも地方税の創設の権限があり、会計の監督や公共施設の設置・廃止、産業や雇用の促進、政府との折衝、災害時や緊急時の対応なども挙げられます。
さらには知事には都道府県の顔としての役割も期待され、PR活動などを行う営業マンのような仕事も行います。一昔前の宮崎県知事だった東国原英夫氏が、テレビで宮崎県をアピールして回っていたのを覚えている方も多いでしょう。
このように知事は様々な職務を行い権限が強い反面、期待される役割も大きいと言えるでしょう。
・日本国民で満25歳以上であること。
市区町村長の職務は、市民を中心とした行政を行うこと。
市民の様々な声に耳を傾け、公平で平等に行うことが求められます。また予算案や条例案を議会に提出することや、副市区町村長などの補助職員の人事を決めることなども大事な職務です。
ほかにも議会が決めるべき事案が決定しない場合や、委任の議決がある場合などの地方自治法が決めている場合に、市区町村長の権限で決める場合もあります。これを「専決処分」といいます。
このような職務以外にも、市内で行われるイベントへ出席したり、主催者として挨拶するなど市民との交流を図ることも忘れてはいけません。
・日本国民で満25歳以上であること。
・その都道府県議会議員の選挙権を持っていること。
都道府県議会議員の職務は、条例の制定や改正、予算の決定、一定以上の金額になる契約の締結などの都道府県にとって重要な事案について議決することです。
また健康福祉や農林水産などの分野に分かれた常任委員会のどれかに所属して、それぞれの分野に類する議案の審査も行います。
議決された事案について、それがきちんと行われているかの調査・監視を行ったり、都道府県政について、一般市民へ伝えることも職務です。
都道府県議会議員は、このような職務を遂行するために様々な調査や研究などを普段から行い、適切な審議が出来る知識を持つことが求められます。
・日本国民で満25歳以上であること。
・その市区町村議会議員の選挙権を持っていること。
市区町村議会議員の職務は、市区町村政に市民の声を取り入れること。
議会では市民の目線で議案の提出・審議・議決を行い、また質疑を行って行政が正しく機能しているかをチェックします。
議会以外では、市民と交流して要望を聞いたり、市区町村政や市民生活の調査、政策の研究などを行います。
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なおそれぞれの年齢の考え方ですが、選挙期日(投票日)にその年齢に達していれば良いとされていますので、立候補時点では条件を満たしていなくても大丈夫です。
この他に各選挙に出るためには、それぞれの選挙で決められた供託金が必要となります。供託金とは選挙出馬の際に法務局に一時的に預けるお金のことです。規定得票数に達しなかった場合は没収される可能性もありますので、注意が必要です。
上で述べている被選挙権の条件以外に被選挙権を失う条件についても公職選挙法や政治資金規正法などで定められています。具体的には
・禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者
・禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)
・公職にある間に犯した収賄罪により刑に処せられ、実刑期間経過後10年間を経過しない者。または刑の執行猶予中の者
・選挙に関する犯罪で禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行猶予中の者
・公職選挙法等に定める選挙に関する犯罪により、選挙権、被選挙権が停止されている者
・政治資金規正法に定める犯罪により選挙権、 被選挙権が停止されている者
上の条件に一つでも当てはまる場合は被選挙権を失います。
ポイントとしては、一般的な犯罪により実刑が確定した場合よりも、選挙に関する犯罪や公職選挙法・政治資金規正法に違反して罪となった場合の方が、より重いペナルティがあると言う事です。
言うまでも無いことですが選挙に立候補した際には、公職選挙法や政治資金規正法に違反することがないよう万全を期す必要があります。知らなかった、では済まされません。
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議員や首長の職務について、簡単にご説明してきました。
議員や首長にはこれらの職務を遂行するための特権や権限が与えられていますが、それについては今後機会を改めてご紹介したいと思います。
それぞれ年齢などの条件さえ満たせば、選挙に出馬することは可能です。しかし実際の当選状況を見た限りでは、市長などであれば市議会議員としてキャリアを積んでいたり、市や県などの職員を経験している方が多いようです。
もちろんその様なキャリアが無い方でも当選しているケースはあります。民間企業出身の経験が活かせることだってあるのです。
迷っている方は、まずは選挙の専門家にご相談ください!