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よく選挙に必要なのは三バン(地盤・看板・鞄)と言われます。支持組織(地盤)と知名度(看板)も重要ですが、やはり気になるのは最後の鞄、選挙資金ではありませんか? 数百万、数千万…いったいいくら選挙資金を準備すれば良いのか分かりませんよね。
選挙はお金が掛かるもの、というイメージは昔ほど露骨ではなくなりましたが、実際はどうなのでしょうか。お金の掛かる選挙に歯止めをかけるために、公職選挙法は改正を重ねて来ています。
まずは「法定費用(法定選挙費用)」についてお話ししましょう。法定費用という言葉、ご存知ですか?
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法定費用(法定選挙費用)とは、公職選挙法に定められた選挙運動に関する支出の最高限度額の通称です。
支出がこの限度額を超えてしまうと、あなたの出納責任者に罰則が適用されます。もしもあなたが当選していたとしても、出納責任者の刑が確定してしまえば、連座制によってあなたの当選も無効になってしまいます。
法定費用は何の選挙かによって限度額の計算式が異なります。一般に国政選挙の方が高く、町村議会選挙が一番低い額であると言えます。限度額はその選挙区の選挙人名簿登録者数(有権者数)に比例して増え、その額は百万円台から数千万円となります。
あくまでも限度額(上限)ですので、この額を用意しなければならないと言うわけではありません。お金を掛ければ掛けただけ得票率が上がるか、と言うと決してそんな単純ではありません。必要なのはお金を掛けずに勝つための戦略です。
そしてここで言っている限度額は、選挙全体で掛かる費用とは別物だと言うことも注意する必要があります。
法定費用(法定選挙費用)は、あくまでも選挙運動のための費用です。選挙運動とは選挙期間中に行う活動のこと。つまり選挙期間前に行う活動については含まれていません。選挙前には後援会組織の拡大のための活動や政治活動などを行うのが一般的です。
政治活動にはあなたの人柄や主義主張、経歴などを知ってもらうためのパンフレットやリーフレット、名刺などが必要になります。これらに掛かる費用については、法定費用の制限額の外と言うことです。
また同じく選挙に出馬する際に必要となる供託金についても、法定費用には含まれていません。実際に準備しなければならない資金は、法定費用の上限では済まされないと思いませんか?
法定費用(法定選挙費用)は具体的にどのようなものが当てはまるのか、順に見て行きましょう。
選挙運動を支えてくれる事務員の方や、ハガキの宛名書き・発送作業、看板などの運搬作業、ポスター貼りなどの労務をしてくださった方への報酬です。それぞれの交通費・食糧費はここには含まれません。
選挙運動に際して直接有権者へ支持を訴える人や、選挙事務所の幹部、各部署の責任者などには報酬やアルバイト料を支払うことはできません。
なお事務員や労務者への報酬については、人数や金額に制限が設けられています。
選挙事務所のための費用です。賃貸の場合はその賃料、プレハブなどを仮設した場合はその建設費です。選挙事務所のための電気・水道の新設やインターネット回線の引き込み工事の費用のほか、机やキャビネットなどの什器の賃料などを含みます。
また選挙期間中に開かれる集会などの集会会場費についても家屋費となります。
最近の市区町村議会選挙などでは、自宅の一室を選挙事務所として家屋費を抑えることが増えて来ているようです。
ハガキ・封書などの郵送料、電話代やFAX、インターネット回線の利用料などです。選挙ハガキ(公選ハガキ)については後述する公費負担となり、郵送料はかかりません。
選挙ハガキ(公選ハガキ)やポスターなどの印刷代です。なおポスターの印刷代については地方自治体により異なりますが、公費負担が設けられている場合が多いです。
選挙活動とは別に、選挙期間前には政治活動などでパンフレットやリーフレット、名刺などを印刷することが多いですが、それとはきちんと分けておきましょう。
選挙カーに掲げる看板や選挙事務所の看板、新聞広告代、その他立て札、ちょうちん、タスキなどの広告にかかる費用です。拡声器(メガホン)を購入した場合は、その費用も広告費となります。
選挙活動で使用する、筆記用具などの費用です。
選挙運動を手伝ってくれる方々のお弁当代や、選挙事務所で出されるお茶・お菓子などの費用です。なおお弁当代については上限金額が決められており、選挙期間中に出せる総数や人数についても規定があります。
選挙運動を手伝ってくれる方々がもしも宿泊した場合は、その費用です。こちらも一泊あたりの上限金額が決められています。
選挙期間中に使用した軍手やセロハンテープ、ガムテープなどのほか、電気代や水道代など、これまで上げて来た区分に入らない選挙運動に関する費用です。
次に挙げる費用については、選挙運動費用とみなされません。
・選挙出馬のための供託金
・選挙カーの経費(一台分)
・国や地方公共団体に支払う税金や手数料
・選挙期間後の残務整理のための経費
供託金の額は選挙によって異なります。一定以上の得票率がない場合、供託金は没収されてしまいますが、当選した場合や一定以上の得票を得て落選した場合は、全額戻って来ます。
一台分の選挙カーにかかる経費については、次項の選挙運動費用の公費負担制度に含まれます。
選挙運動費用の公費負担制度というものがあります。これは選挙活動にかかる費用の一部を、国や地方公共団体が負担するというもの。つまりは税金によって負担されます。国政選挙の場合は公職選挙法で、地方選挙では各地方自治体の条例で決められています。
選挙運動費の公費負担制度は、立候補者の資産の多少に関わらず立候補や選挙運動ができるようにするためのものです。選挙の種類によって負担されるものは変わって来ますし、地方選挙の場合はそれを負担する地方公共団体により負担額なども異なります。
また注意しなければならないのは、供託金が返還されるだけの得票がない場合は、選挙運動費の公費負担制度を受けることができず、かかった費用の全額が候補者の負担となってしまうことです。
選挙運動費用の公費負担制度について詳しくは別の機会にお話しします。
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選挙にまつわるお金のお話しをして来ました。法定費用(法定選挙費用)と実際に掛かる選挙費用の違い、また法定費用に含まれるもの、含まれないもの、選挙運動費用の公費負担制度にも触れました。
実際のところ全部でいくら掛かるかは、選挙の種類や地域性、選挙区の大小などによって変わって来ますし、最終的には候補者自身がいくら掛けるかによって決まります。
お金をかけない選挙を目指して、最低限の公費負担だけで戦う人もいますが、それで当選できるかどうかは別の話です。やはり必要な経費は掛かるものだ、と思っておいた方が良いでしょう。
お金もかけるべきところと、節約するべきところをきちんと分けましょう。それでも湯水のようにお金を使える人ばかりではないはず。そこを覆すのは戦略しかありません。あなたの戦略は万全ですか?