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立候補するために絶対に必要なお金!供託金ってなんだ??

選挙への出馬を検討している方であれば、供託金(きょうたくきん)と言う言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。

「供託」とは法律の決まりによって、お金などを供託所に一時的に預けておくことです。日本の選挙では、出馬する時にはこの供託のお金、つまり「供託金」を法務局に一時的に預ける必要があるのです。

お金はいくら必要なのか、ちゃんと戻って来るのか気になりますよね。今回はそんな供託金に関するお話しです。

1●供託金制度ってどういうもの?

日本の選挙では供託金が必要だということは分かりました。法務局に一時的に預ける、ということは選挙が終われば戻って来るということです。出馬する選挙によって、預ける金額も変わってきます。なお町村議会選挙に供託金はありません。

選挙の種類
供託金の金額
衆議院議員選挙(小選挙区)
300万円
参議院議員選挙(選挙区)
300万円
都道府県知事選挙
300万円
都道府県議会議員選挙
60万円
政令指定都市の市長選挙
240万円
政令指定都市の市議会議員
50万円
一般の市区長選挙
100万円
一般の市区議会議員選挙
30万円
町村長選挙
50万円
町村議会議員選挙
なし

一番低い市区議会議員選挙で30万円。国政選挙ともなると300万円が必要になりますので、選挙資金の準備の際には余裕を持っておくことが必要です。

法務局に供託金を預けると供託証明書(供託書正本)を受け取ります。この供託証明書は立候補の届出の際に必要になります。立候補前に事前審査を受ける場合にはその時に必要です。忘れずに手続きを行いましょう。

2●供託金が没収される場合もある?

供託金は一時的に預けるお金、と説明して来ましたが、実は場合によっては供託金が返還されず、没収されてしまう場合もあります。

供託金が没収されるのは、立候補した後に立候補を取り下げた場合や辞退した場合、選挙違反などで立候補資格を失った場合のほか、選挙で一定の得票が得られなかった場合です。

立候補の取り下げや辞退した場合については途中棄権ですので分かりますよね。また選挙違反などももちろん論外です。さて、では一定の得票が得られなかった場合とはどういう場合でしょうか。

まず一定の得票についてですが、選挙の種類によって決まっています。各選挙によって決められた一定の得票数のことを「供託金没収点」と言い、次の表のようになっています。

選挙の種類
供託金没収点
衆議院議員選挙(小選挙区)
有効得票総数の10分の1
参議院議員選挙(選挙区)
(有効得票総数÷議員定数)の8分の1
都道府県知事選挙
有効得票総数の10分の1
都道府県議会議員選挙
(有効得票総数÷議員定数)の10分の1
政令指定都市の市長選挙
有効得票総数の10分の1
政令指定都市の市議会議員
(有効得票総数÷議員定数)の10分の1
一般の市区長選挙
有効得票総数の10分の1
一般の市区議会議員選挙
(有効得票総数÷議員定数)の10分の1
町村長選挙
有効得票総数の10分の1
町村議会議員選挙
なし

例えば、人口が15万人ぐらいの市で、有権者が12万人、議員定数30人とします。投票率が50%だとすると、有効得票総数は12万人の50%ですから、6万票と言う事になります。

市長選挙の場合、有効得票総数の10分の1なので、6000票が供託金没収点です。市議会議員選挙では、(有効得票総数÷議員定数30)の10分の1ですから、200票が供託金没収点です。

もちろんこれは都道府県知事選挙などでは大きく膨れあがります。東京都知事選ともなると、有権者は1千万人以上です。投票率が50%と仮定すると供託金没収点は50万票となります。

実際に2016年の東京都知事選では、当選した小池百合子氏を含む上位三名以外の十八名が供託金没収点に届かず、供託金を没収されています。

大きな選挙ほどハードルが高いと言えるのではないでしょうか。

3●供託金は何のためにあるの?

いきなり東京都知事選と比較してしまうとビックリしてしまったかも知れませんが、そもそもこの供託金制度とは何のためにあるのでしょうか。まずは日本における供託金制度の歴史を見てみましょう。

供託金制度は、1925年(大正14年)の普通選挙法の制定の際に導入されました。この時の供託金の金額は2000円。当時の公務員初年俸の約二倍であったと言います。

その後、普通選挙法に代って公職選挙法が定められた際にも、この供託金制度は引き継がれました。供託金の金額は、時代と共に引き上げられて現代に至ります。

供託金制度が導入されたのは、売名行為や選挙妨害などで立候補者が乱立するのを防ぐためとされています。近代化のお手本であったイギリスの制度を取り入れたようです。

確かにある程度得票できる算段が立たなければ、立候補に躊躇しますよね。面白半分で選挙に出馬するような人は排除できるかも知れません。

しかし国政選挙などで300万円となると、妥当な金額なのか疑問も残ります。

4●外国の供託金制度はどうなっているの?

日本以外の外国でも供託金制度は導入されています。しかし日本に比べて金額がかなり低めに設定されていることが多く、また供託金没収点が低かったり、供託金返還の条件が緩やかになっています。

例えばカナダの場合は、供託金が約10万円ですが、供託金没収点は小選挙区制で10%の得票、ただし収支報告を提出すれば供託金の没収が免除されます。実質的には没収免除と言ってもいいのではないでしょうか。

またアメリカやフランス、ドイツ、イタリアに至っては供託金制度すらありません。(フランスは1995年に廃止)

日本の次に供託金が高いと言われている韓国でも、その金額は日本の約半分です。果てして今の日本の制度は妥当なのでしょうか。

5●日本の供託金制度の問題点って?

日本の供託金制度については、諸外国と比べても金額的に高く、没収の可能性も高いことが分かると思います。供託金が高いことが、日本の供託金制度の大きな問題点です。

供託金があるため、日本の選挙制度は現職や政党公認候補などの組織をバックに持つ候補者が有利であると言われています。あるいは資産を多く持つ人間の方が有利な選挙であると言えるでしょう。

このため日本国憲法第四十四条の

両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。

という条文に反しているのではないかとの批判が根強くあります。上記の条文を簡単に言えば「みんな平等だよ」と言うことです。お金のある人が有利な選挙制度は問題がありますよね。

供託金制度の目的である、売名行為や選挙妨害などで立候補者が乱立するのを防ぐと言う点についても、供託金制度がない国であっても選挙の混乱が起きていないとする指摘もあります。

いくら国政選挙や都道府県知事選挙とは言え、供託金が300万円。果たして本当に必要なのでしょうか。みなさんはどう感じますか?

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日本の供託金制度のあらましと、その問題点について見て来ました。いろいろ問題点も挙げられていますが、現状では準備しなければならないお金です。

選挙はお金持ちや一部の人たちだけのものではありません。選挙権も被選挙権も誰でも公平に行使できる社会が理想です。今の政治家には、既得権にあぐらをかかずに自らを律する姿勢が求められているのではないでしょうか。

明日の政治を作って行くみなさんの思いを、選挙にぶつけてみてください。いつか日本も変われると信じています。

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